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【参加レポート】世界初の試みが始動 ― IB × 文京区が示すこれからの教育のかたち

2025年7月30日、文京区と国際バカロレア機構(IBO)が共催する「これからの教育を考えるシンポジウム」に参加しました。
今回のシンポジウムでは、これからの日本の教育がどう変わっていくのか、その可能性と課題が具体的に語られ、特に印象的だったのは、IB認定校以外の教職員を対象とした研修を文京区と連携して行うという世界初のプロジェクトが始動したという発表でした。


教育の転換点 ― 「先生主導」から「子ども主体」へ
今回の取り組みの核となるのは、IBが掲げる 「10の学習者像」 を軸にした教育です。知識を受け身で与えるのではなく、子どもたち自身が探究心を持って、主体的に学ぶ力を育てていくことが目的です。

この視点が公立学校にも広がっていくことは、日本の教育にとって大きな転機となるでしょう。これまでの「先生が主役」の一斉保育・一斉教育から抜け出し、子どもたち一人ひとりの学びを尊重する流れが、ようやく本格化し始めたと感じました。

しかし、根本的な課題はまだ残る
とはいえ、今回の議論を通して見えてきたのは、まだまだ日本の教育が気づいていない重要な視点もある、ということです。
たとえば、乳幼児期からの英語環境やバイリンガル教育、多文化・多様性の理解といった基盤づくりについては、ほとんど言及がありませんでした。

グローバル社会の中で生きる子どもたちにとって、こうした早期教育こそが「世界で生き抜く力」を育む鍵であるはずです。

世界とつながる未来を描くために
今、日本は大きな岐路に立たされています。貧富の格差が拡がり、インバウンドが急増する中、日本の子どもたちが世界のどこでも活躍できる人材となるためには、もはや教育改革に一刻の猶予もありません。

さらに、日本に帰ってきた帰国子女や、バイリンガルに育った子どもたちが「また日本で暮らしたい」と思えるような、多様性を受け入れる土壌や制度も整える必要があります。

まとめ
このシンポジウムは、「希望と課題が交差する「現在地」」を明確に映し出すものでした。
IBという世界基準の教育が、自治体レベルで導入されはじめたことは、日本の未来にとって大きな一歩です。しかし、その成果を本当の意味で社会に浸透させるには、さらに深い対話と行動が求められます。

子どもたちの未来のために、今、私たち大人ができることは何か。改めてその問いと向き合うきっかけとなる、貴重なシンポジウムでした。

IBが掲げる 「10の学習者像」